輝きの彼方へ

「夏」がテーマの短編です。主役はアスター×クララ(時々プリュンヌ)。
シリアスさの全くないほのぼのしたお話なのでのんびりお楽しみください。
 

 
 後宮の人工池のほとりを、プリュンヌが駆けている。
 彼女は四阿の中のアスターとクララに向けてぶんぶんと勢いよく手を振った。
「お姉様ー! 水面がキラキラしてとっても綺麗ですよー!」
 クララは和やかに手を振り返す。差し向かいに腰かけたアスターが声を張り上げた。
「怪我をするんじゃないぞ!」
「はあーい!」
 クララはそんな二人のやり取りに相好を崩した。
(……ふふ。やっぱり頼もしくていらっしゃるわね)
 こんなアスターだからこそ、プリュンヌも大事な兄として無邪気に慕っているのだろう。
 それがクララにはなんだかとても誇らしかった。
 ……その時。
「どうした」
「は、はいっ……?」
「いや、ひどく嬉しそうな顔をしていると思ってな。プリュンヌの笑顔がそうさせたのか?」
「……あ、あの」
 まさか「あなたのことを考えていたからです」などとは言えず、クララは曖昧な笑みを浮かべてごまかした。
 これまでずっと一緒にいたというのに未だにこうなのだ。素直に感情を言葉にできない時など数えきれないほどあるし、察してほしくて目つきで訴えるような真似をしてしまったりもする。
 しかも、その都度不審な顔で見つめ返されるので、クララはやり場のない気持ちでいっぱいになってしまう。
(……わたくし、もっと正直な性格だったらよかったのに)
 時々「バイオレッタのようになりたい」と思うことがある。それも、一時いっときの気の迷いなどではなくほとんど本気でそう思ってしまう。
 彼女はなんでもすぐ顔に出る性格をしている。恥ずかしければはにかみ、困っていれば唇を捻じ曲げるといった具合に、基本的に自分の気持ちを隠し通すのが下手なのだ。
 それを単純と評する人間もいるだろうが、クララにとっては羨ましいことこの上なかった。
 クララは本心を洗いざらい他人を打ち明けるというのがどうしても苦手だ。
 宮廷ではとにかくおとなしくしているよう強要されてきたし、スフェーン側の王侯貴族を前に言いたい放題というわけにもいかない。となれば、やはり立ち回り方や振る舞いなどは慎重なものになってしまうのだ。
 本当は、アスターに対してもきちんと好きだと言いたい。
 たとえ「そんなことはわかっている」と返されるにしても、何度だって伝えたいのだ。
(あなたが今こうして隣にいてくださるということ。そして、いつも温かい気持ちでわたくしを包み込んでくださるということ。それを全部当たり前だと思ってはいけないのですから)
 クララは無言でアスターと向き合う。
「……どうしたんだ?」
「いえ……!」
 クララはしばらくもじもじとエメラルドグリーンの双眸から逃げた。
 何か言おうと試みるものの、こういう時に限って言葉が出てこなくてやきもきする。
 ……するとその時、ぬかるみに足を取られたプリュンヌが派手な水音を上げて池に落下した。
「ひゃあああっ!?」
 水しぶきとともに、プリュンヌの身体が水面に叩きつけられる。
 アスターは小さく舌打ちをすると、慌てて彼女に駆け寄った。
「何をしているんだ!!」
 彼は慌てて池に飛び込んで彼女を助け出した。浅瀬でずぶ濡れになっているプリュンヌに手を貸し、ゆっくりと立ち上がらせる。
「お兄様……」
「浅瀬だったからよかったものの、これが深い池だったら大変なことになっていたぞ。貴女にはもともと大胆で怖いもの知らずなところがある。それがいつも悪い方向に作用するとは限らないが、命を失ったら終わりだ。これからは気をつけろ」
「はい……」
 ぐすっ、と洟をすすり、プリュンヌは小さくしゃくり上げ始めた。
「うう……、ごめんなさい。ごめんなさい、お兄様……」
 アスターは目に見えてぎょっとした。たくましい肩がぴくりと跳ねあがったかと思うと、プリュンヌへ差し出していた手がものの見事に動きを止める。
「な、泣くな。怒っているわけじゃない。ただ僕は、気をつけないと事故に繋がりかねないと言っただけで――」
「だって……、お兄様、さっきのお顔、すごく怖かったから……! っく……、ふ、うう……っ」
 アスターはかがみこみ、急いでプリュンヌの頬を拭く。
 次いで、水を含んで濡れそぼったドレスの生地をぎゅっと絞ってやる。
「……すまない。こんな風に親しくなってまだ日が浅いから、僕には貴女のことはいまいちよくわからないんだ。だが、貴女は僕の顔が怖かったんだな。それなら次から気を付ける。だから、そんな風に泣かないでくれ。どうしていいかわからない……」
 齢十三の姫君の足元に跪き、おろおろとその様子をうかがうアスターに、クララはとうとう噴き出した。
「ふっ……!」
 肩を震わせて忍び笑いを漏らす。
「ふふ、ふふふ……、あ、アスター様ったら……!」
 そのしぐさに、アスターは仰天してこちらを見た。
「な、なんなんだ……! 貴女まで一体どうしたというんだ……!?」
 またしてもおろおろしている。クララはそんな彼の様子さえ可愛いと思ってしまう。
 くすくす笑うと、二人は揃ってクララを凝視した。
「どうしたんだ、クララ」
「お姉様……?」
 クララはこぼれてくる笑い声を必死で抑え込みながら言った。
「いえ……すみません。あんまり微笑ましい光景だったものですから、つい……」
 そう弁明すると、アスターは整った眉を不機嫌そうに寄せた。
「微笑ましいだと? プリュンヌがこんなことになったというのにか」
「だ、だって……」
 言えない。まさかアスターが「プリュンヌの父親」に見えてしまったなどとは。
 アスターは険しい顔でクララに詰め寄った。
「……気に入らないな。僕を笑いものにして楽しいのか?」
「えっ、そんな……ことは……」
 アスターはなおも何事か問い詰めようとしていたが、ふいに自らのシャツをつまみ上げた。
 水浸しになったシャツの袖口を見やり、大きなため息をつく。
「……まあいい。先に着替えたほうがよさそうだな」
「あ、では……わたくしの部屋においでになりますか?」
「女性の部屋か……」
 生真面目なアスターはそこでむすっと黙りこくった。
 彼は基本的に節度を守らない行いを嫌う。もともとの考え方が硬派であるために、そうしただらしないことをする人間には特に厳しいのだ。
 それは母妃であるシュザンヌや自らに媚びを売る女官たちなどに対しても同じで、その魂胆が見え透いているときほど慎重になるようだった。
 今彼が言わんとしているのはつまり、男の自分が女性であるクララの部屋になど立ち入ってもよいのかどうかということだ。
「そ、そこまで考え込んだりなさらなくても、昔はしょっちゅう遊びにいらしていたではありませんか。その……エリザベス様がご存命だった頃」
「昔と今では勝手が違うぞ、クララ。貴女はもう立派な淑女で、僕はとうに成人を迎えた男性なんだ。よく考えてもみろ、男が婦人の部屋に立ち入るということの意味を。それはそもそも――」
「くしゅんっ!!」
 可愛らしいくしゃみに、二人は弾かれたようにプリュンヌを見つめる。
 そして顔を見合わせてくすりと笑い合った。
「……前言撤回だ。これは早急に着替えがいるな」
「ええ。急がないと風邪を引いてしまいますわね」
 そうして一行はクララの私室へ向かうことになったのだった。
 
 
***
 
 
 三人が青玉サファイア棟に入ると、従者二人が迎えてくれた。
 クララに付き従う下級魔導士、ユーグとアベルである。
 今の今まで揃いの書きもの机で書類を片付けていたらしい。彼らは鵞ペンを手にこちらを見上げた。
 ユーグが立ち上がり、律儀に深々と頭を下げる。
「いらっしゃいませ、アスター殿下」
「わお。これはびっくり、アスター様が遊びに来るなんて」
 アベルもまた席を立ち、おどけたようなしぐさで歓迎の意を示してみせた。
 クララの筆頭侍女アンナもぱたぱたと靴を鳴らして駆け寄ってくる。
「お帰りなさいませ、クララ様……あっ、で、殿下……!?」
 女主人と連れ立ってやってきたスフェーンの第一王子の姿に、アンナは慌てふためいた。が、すぐに居住まいを正してクララの命令を待つ。
 クララはてきぱきと指示を出した。
「ユーグ、あなたはアスター様に着替えを貸してあげて。アンナは冷たい飲み物とプティフールを準備してくれる? プリュンヌ様が一緒だから多めがいいわ」
 二人はすぐに頭を垂れた。
「かしこまりました」
「わかりました、クララ様」
 そこでアベルが唇を尖らせる。
「僕は~?」
「……そこのお菓子でも食べていて」
 そう言ってボンボンの詰まった器を差すと、アベルは「ははっ」と笑った。
「なるほど! 僕は働かなくていいんですね! わぁ、これはありがたいなぁ」
 クララは呆れながらもプリュンヌの手を引いた。
「では、プリュンヌ様。わたくしのお部屋に行きましょう。昔の衣装櫃いしょうびつを開けてプリュンヌ様が着られそうなものを探してみますわ」
「はい。お姉様、よろしくお願いします」
 二人は一旦寝室に入り、その隣にある化粧室へと向かう。
 その途中、プリュンヌはぽつりと羨ましそうな声を上げた。
「わあ。ふかふかのベッド、いいなぁ……」
 そこでクララは途端に痛ましくなる。
 プリュンヌの暮らす尖塔には「ふかふかのベッド」などという代物はない。あるのは粗末な木のベッドだけで、化粧台やクローゼットなどといった女性的で華やかな家具はもちろん置かれていないのだ。
 プリュンヌはしばらくの間きょろきょろしていたが、クララの視線に気づいたのかごまかすような笑みを浮かべた。
「……えへへ。素敵なお部屋ですねぇ!」
 クララはそれを聞いて何も言えなくなってしまった。
(本来であれば、この方はわたくしなどよりもずっと恵まれた立場に置かれていたはず。スフェーン大国の姫として、オルタンシア様やミュゲ様と同じくらい大切にされていたはずなのに)
 そうした恩恵を受けられないのはひとえに彼女が忌み子だからだ。
 ただそれだけの理由で彼女は軟禁され、王女とは名ばかりの質素な暮らしを強いられている。
(なんてお可哀想なの)
 クララは化粧室に入ると、意を決したように衣装櫃を開けた。
 中身をがさごそと探り、昔自分が気に入っていたドレスをいくつか取り出す。次いで、口元をふっとほころばせた。
 普段窮屈な思いばかりしているプリュンヌに、せめて今日くらいは夢を見させてやりたかった。
 クララはプリュンヌのドレスをてきぱきと脱がせた。腰のリボンをほどき、背中に並んだホックを一つ一つ外していく。
 濡れたドレスをすべて取り去ると、シュミーズやドロワーズ、靴下といったものも新しいものに替えてしまう。
 下着の取り去られる感触に、プリュンヌがびっくりして声を上げた。
「お、お姉様! 何をなさるのですかっ……?」
「……今日限りになってしまいますけれど、わたくしがたったひとときの魔法をかけて差し上げますわ」
「魔法……?」
「ええ。どんな姿に変身できるかは、出来上がってからのお楽しみです」
 まず取り出したのは幾重にも重なったふわふわのパニエだ。これを最初に仕込んでおけば、ドレスを着つけた時に自然と裾が膨らんでくれる。まるで開いた花のようにふんわりとしたボリュームが出せるのだ。
 純白のパニエを何枚か重ねてプリュンヌに穿かせ、かつて自分が気に入っていた珊瑚色のドレスを用意する。
 クララはそれをプリュンヌにそっと着せかけた。スカートの裾を手で引き下ろし、皺を伸ばし、最後に背の紐を丁寧に結ぶ。
 思った通り、スカートは何もしなくてもふっくらと膨らんでくれた。クリノリンを使うよりは控えめな広がり方だったが、伏せた花弁のような女性らしいボリューム感に満足する。
 そしてスカートを五か所でたくし上げ、合間に真珠のチェーンを巡らせてゆく。
 プリュンヌを一通り盛装させ終えたクララは、ふう、と息をついて満足の笑みを浮かべた。
 十三の娘にコルセットはいらない。硬い鯨骨は身体の成長を阻害するし、何より小柄なプリュンヌには呼吸を妨げる拷問具にしかならない。
 彼女の「姉」としては、まだそんな可哀想な思いはさせたくなかった。
「さあ、プリュンヌ様。完成しましたわ」
 クララがそう呼びかけると、プリュンヌはもじもじと両手を組み合わせ、はにかんだ。
「……? プリュンヌ様……?」
「お姉様。お姉様はいつもプリュンヌに優しくしてくれますよね? それがプリュンヌにはすごく、すごーく嬉しいことだって、お姉様はちゃんとわかってくれてますか……?」
「え……」
 プリュンヌはふっくらとした頬をふにゃふにゃと緩ませた。
「……プリュンヌ、お姉様に優しくしてもらえると、なんだかくすぐったいです。なんだか、ふわふわして、胸が熱くて、幸せで……。ああ、プリュンヌはここにいてもいいんだって思ってしまうのです……」
 思わず言葉をなくしたクララに、プリュンヌはおずおずと続ける。
「おかしいことを言ってるのはわかってます。だけど、それくらい嬉しいんです。プリュンヌは本当は生まれてきちゃいけなかった。だから、スフェーンの姫だなんて名乗っちゃいけないし、何も欲しがったりしちゃいけないのです。なのに、お姉様に親切にしてもらえると、プリュンヌは『生きていてもいいんだ』って思ってしまいます。お姉様がプリュンヌのことを必要だって言ってくれて、大切だって言ってくれて……。プリュンヌはいつも、涙が出そうなくらい嬉しくなってしまうのです」
 プリュンヌの足元に跪いていたクララは痛ましげに眉を寄せた。
 その小さな手を取ると、ゆっくりと告げる。
「……プリュンヌ様。生きていてはいけない人間など、本当はこの世界には一人もいないのです。ただ宗教のため、まつりごとのために、指導者たちがこぞって敵対すべき対象を掲げているだけ……。そしてそれは必ずしも真実であるとは限りません。プリュンヌ様はただその諍いに巻き込まれてしまっただけ。貴女が悪いわけではないのです」
 これはアスターに対しても声を大にして言いたいことだった。
 忌み子というのはいわば大陸における「犠牲者」であり「弱者」だ。
 そしてそれは容姿のために一方的に決めつけられただけのものであって、当の本人たちが関与していることでは断じてない。
 第一、紅い色彩を持つというだけで忌み子たちが全員悪だと断定するのは不可能だ。
 だが、大陸の大多数の民が忌み子を「悪」だという。災いをもたらすと……邪神を呼び寄せるという。
 その誤解を、クララはいつも残念に感じていた。
 華やいだ繁栄の裏には、必ずこうしたいびつな歴史が潜んでいる。
 そして誰しもがその事実から目を背けている。そうやって目を背けるという行いそのものが「悪」であるとも気づけずに――。
「プリュンヌ様。貴女は何も悪くありません。貴女は誰にも何も恥じることのない、立派な王女様です。敵国出身のわたくしが言うのも妙かもしれませんが、貴女は大変努力家で一生懸命なお姫様だとわたくしは思います。貴女はそのままでよいのです。もっと胸を張って生きてください、プリュンヌ様」
「えへへ……。ありがとう、お姉様」
 プリュンヌはくすぐったそうに笑い、クララの両頬を上から小さな両手で挟むようにした。
「お兄様もお姉様も、プリュンヌのためにいつもたくさん楽しい思いをさせてくれますよね。そのたびに、プリュンヌはいつも思うのです。プリュンヌも誰かに優しさや嬉しい気持ちをあげられる姫でいたい、誰かを励ましたり元気づけたりしてあげられる女の子でいたいって……そう思ってしまうのです」
「プリュンヌ様……」
 クララは思わず彼女の小柄な身体を引き寄せ、しっかりと抱きしめた。
 
 
 
「お待たせしました、アスター様」
 軽やかに言ってドローイングルームに入ってゆくと、三人の男性たちはみな目を丸くした。
 真っ先にプリュンヌを褒めたのは、洒落者と色男を自称する従者アベルだ。
「おっ! 淑女って感じがして可愛いなあ。よくお似合いですよ~、プリュンヌ様」
「あっ、ありがとうございます、アベルさん……。えへへ」
 照れたように頬を掻き、恥ずかしそうにプリュンヌが言う。
 普段はにこりともしないユーグも、今日に限ってはにこやかに賛辞を述べた。
「大変よくお似合いです。コーラルオレンジは貴女にぴったりのお色ですね」
「ほ、本当ですか?」
 ユーグは片眼鏡を指で押し上げ、神妙な面持ちでうなずく。
「ええ。御髪の紅色がドレスと相まってとてもお可愛らしいです。貴女はもっとその髪色を誇ってもよいくらいですよ。こんなに温かみのある素敵な色だというのに」
「うわー、ユーグ君。すごい真剣な褒め言葉だねぇ。聞いてるこっちが照れちゃう」
 アベルの冷やかしに、彼は鋭い形相で憤った。
「茶化すな、アベル。私は真面目に言っているんだ」
「はいはい。わが君の大事なお友達だもんねぇ。まあ、確かに僕としてもいい色の取り合わせだなぁとは思ってたけど」
 クララはそこでプリュンヌの身体をくるりと回転させた。
 コーラルオレンジのドレスは首までを覆うデザインのもので、喉のところには大粒のルビーを使ったブローチが飾られている。
 デコルテにはふんだんに重ねられたフリルが並び、袖はゆったりと広がってプリュンヌの手の甲までを覆っている。
 盛装用のドレスを着せることも考えたのだが、どれもコルセットありきのデザインだったので、迷った末このドレスにしたのだ。
(それにまだ昼間ですもの、盛装ドレスアップするには早すぎるわ)
 思った通りだ、とクララは瞳を細める。
 華やかでありながらも動きやすいドレスは、活発なプリュンヌにぴったりだ。
 たくし上げたスカート部分は黄金のブローチで留められている。プリュンヌが身じろぐたび、スカートに縫い付けられた貴石や色硝子のかけらが夢のようにキラキラときらめいた。
 五枚の花弁のような連なりと、随所に行き渡らせた真珠のチェーン。裾に走るのは黄金の蔦模様。
 どこを見ても可憐で女性らしいシルエットだ。姫君というよりは令嬢の普段着に近いものだが、それでもじゅうぶん可愛らしかった。
「スカートで隠れて見えませんけれど、実は靴にもこだわったのです。細いリボンが編み上げになったもので、アンティークのレースが使われていて……」
 そこで男性陣はわずかに頬を赤らめる。「ドレスで隠れて見えない部分」というのは想像だけでもじゅうぶん刺激的なものなのだ。
 近寄ってきたアスターが不思議そうに首を傾げる。
「これは……」
「わたくしが幼い頃のものです。今のプリュンヌ様ならぴったりではないかと思いまして」
 彼は「ああ、やっぱりな」と言った。
「……懐かしいな。このドレスを着た貴女の姿を、僕は今でもよく覚えている。コーラルオレンジのドレスが、貴女の茶色の髪にとてもよく似合っていた。確かその頃は、パパラチアサファイアのパリュールをよくつけていたような気がする……」
 クララはびっくりした。
「ま、まあ。そのようなことまで覚えていらっしゃるのですか? わたくしはもう忘れてしまっていますのに」
「忘れるはずがないだろう。僕は貴女のことはなんでも記憶しているつもりだ」
「……!」
 こうもストレートに言われると、下手に口説かれるよりもかえって恥ずかしい。親密な仲なだけになおさらだ。
 しかも、それがまるで自分の義務であるかのような態度を取られると、余計どうしていいのかわからなくなる。
 と、そこでプリュンヌが愛らしい笑い声を上げた。
「えへへ。お姉様のドレス、とってもすべすべで着心地がいいですっ」
「そちらは絹織物でできていますから、そのせいでしょうか。生地の光沢も綺麗でしょう?」
「はい! こんなドレスをプリュンヌも縫ってみたいなあって思ってしまいました! 綺麗なドレスをいっぱい縫って、プリュンヌの大好きな人たちに着てもらえたらって」
 クララは首を傾げてプリュンヌを見つめる。
「まあ、ドレスを……?」
「はい。難しいでしょうか……?」
「そう、ですわね……、ドレスは手仕事とは違って立体に縫うものですし、ああいったものを仕立てるのは裁縫とはまたちょっと違っているような気もしますわ。とはいえ、一度手が覚えてしまえば楽なのでしょうね」
「ふふ……、プリュンヌ、いつかドレスを作ってお姉様にプレゼントします! みんながあっと驚くような、素敵なドレスを!」
 クララは穏やかに笑った。
「まあ、嬉しいわ。プリュンヌ様ならきっと素晴らしいものをお作りになるのでしょうね」
「えへへ! 頑張ってお勉強しますっ!」
 傍らのアスターも微笑んで彼女の髪を撫でた。
 
「お着替えするの、疲れました~」
「ちょっと座りましょうか。アスター様もどうぞこちらへ」
「ああ……」
 三人はそんなやり取りを交わし合い、ドローイングルームの革張りのソファーに並んで腰を下ろす。
 隣のスペースではユーグとアベルが魔導士館に託された書類を黙々と片づけていた。
「僕も休憩したーい」
「これを終わらせてからだ」
 ぴしゃりと言うユーグに、アベルがぶつくさと文句を垂れる。
「ちぇー……、つまんないの」
 やがてアンナによって運ばれてきた豪華なデセールの数々に、三人は目を輝かせた。 
 ……白桃のコンポートを飾ったジュレ、パステルピンクが可愛らしいふわふわのババロア。桃のシロップ煮とチーズクリームを閉じ込めた小ぶりのタルトに、ピーチパイのキャラメルソースがけ。
 どの菓子もこれでもかというくらいふんだんに桃が使われている。
「今は桃が旬でおいしいからと、思いきって桃尽くしだそうです」
 給仕をするアンナがそう言って苦笑したが、三人はごくりと喉を鳴らしてデセールに見入った。
「わああっ! な、なんて可愛いのでしょう……!」
「本当……、食べるのがもったいないですわ……」
「ああ……、これは随分凝った盛り付けだ。芸術的な菓子だな……」
 中でも特に目を引いたのは、桃が飾り付けられたアイスクリームだ。
 白桃を切り分けてアイスクリームに添え、仕上げに生クリームとチョコレートソースをあしらったもので、てっぺんにはミントが飾られ、その周囲を星型の小さなアンゼリカが彩っている。
 アイスクリームの下部にはヨーグルトクリームと小石のようなさくさくのフレークが敷き詰められ、単なるアイスクリームというよりはパルフェに近いもののような気もした。彩りが鮮やかでおいしそうだ。  
「いただきます」
 誰からともなくそう言って、ひんやりとしたアイスクリームを匙ですくって口に運ぶ。
 乳白色のアイスクリームはとろりと柔らかく、舌に乗せると瞬く間に儚く溶け崩れてゆく。口内にわずかに残るバニラの風味がなんとも満ち足りた気分にさせた。
「……口当たりがよくて甘いな。桃もきんと冷やしてあってうまい」
 そうつぶやいて無心にアイスクリームを口に運び続けるアスターに、クララは楽しげに彼を振り仰いだ。
「ふふ……、やっぱり甘いものがお好きなのですね、アスター様は」
「う? お兄様って甘いものが好きなのですか?」
 邪気のないプリュンヌの問いかけに、アスターはうっと詰まった。
 が、小動物さながらの潤んだ目で見つめられれば本当のことを言うしかない。
「……好きだ。宮廷菓子で食べられないものはほとんどない」
 宮廷菓子のバリエーションというのは多岐にわたる。
 比較的軽い味わいのクグロフ、タルト、ミルフィーユ。
 濃厚なチョコレートケーキにシュガーケーキ、クロカンブーシュやフォレノワール。
 美しさや見映えを重視して作られる、マカロンタワーやマジパンの人形ケーキ、てっぺんに鳩を遊ばせたコロンビエ。
 どれも贅沢好きな王侯貴族たちには大変好まれるものだが、それを抜きにしてもアスターは甘党だった。
 まだエリザベスのいた頃は特にそれが顕著で、ショコラショーには砂糖を多めに入れてほしいと頼んだり、濃厚なプティフールばかりを選りすぐって食べたりなど、それなりに甘えたがりで子供っぽいところも見せていたのだ。
「ふふ、懐かしいわ。ですが、なんだかわかる気がします。お菓子はおいしいですものね」
「貴女がこの前持ってきてくれた菓子もよかったな。あの時五人で食べた……」
「あ、ああ……、サクランボのクラフティですか? 厨房の女料理人が蜜漬けにしたサクランボがあるというので作ってもらいましたの。濃密な甘さでおいしかったですわよね」
「ああ。あれは蜂蜜漬けだろうか……、ケーキの生地と相まっていい味わいだった」
 さすがの味覚だ、とクララは唸る。
 蜂蜜漬けというのは当たりだ。あの時のサクランボは新鮮な蜂蜜に果皮ごとじっくり漬け込んだものだった。成熟した濃厚な風味に、女料理人がその出来栄えを誇っていたほどだ。
「プリュンヌもこの前のお茶会は楽しかったです! またしましょう、お姉様っ」
「ええ、またすぐに開きましょう。次はどんなお菓子がいいでしょうか……」
 
 あれ以来、時々五人はアスターの尖塔でお茶会を愉しむことにしていた。
 アスター、クララ、プリュンヌ、バイオレッタ、ピヴォワンヌの五人で集まって、甘い茶菓とおしゃべり、ゲームなどをしてくつろぐのである。
 アスターとプリュンヌは甘いものが口にできること、互いに親交が深められることを嬉しがっていたし、バイオレッタとピヴォワンヌの二人は気さくに話せる友達ができたことに喜んでいた。
 だが、あの時間を楽しみにしているのはクララも同じだった。
 王宮に帰還したばかりのバイオレッタたちと親しくなれるうえ、アスターやプリュンヌにも会える。
 しかも、みなそれぞれ性格も趣味嗜好も違うから刺激になって面白いのだ。
 アスターは一緒にゲームをする相手ができたことにもいたく感激しているようで、毎回プリュンヌにカードゲームやチェスの手ほどきをして満足げな顔をしている。
 プリュンヌの方もなかなかに運が強い少女のようで、アスター相手でもとんとん拍子に勝ち進んだりしてしまうのだが、それもまた面白かった。
(忌み子が救世主だというのは本当なのかもしれないわ。びっくりするほど強運でいらっしゃるのだもの)
 とはいえ、もちろんアスターも負けてはいない。
 飲み込みの早いプリュンヌ相手に新しい技巧を教えたり、古い教本を引っ張り出してきたりして満喫しているようだ。
 クララはそんな二人の様子を黙って眺めているのが好きだった。兄妹らしくて微笑ましいからだ。
 また、バイオレッタやピヴォワンヌも、クララの用意したお菓子に毎回とても喜んでくれる。
 クララと違って宮廷菓子を食べる機会も多いはずだが、それでも嬉しいのだそうだ。
 
『わたくし、クララみたいなお友達ができてよかった』
 いつだったか、バイオレッタにそう話を振られたクララは思わずぽかんとした。
『えっ……?』
 が、バイオレッタは両手を組み合わせながらうきうきと言った。
『だって、貴女はわたくしが持っていないものを全部持っている女の子ですもの。自分より優れている人と仲良くなれるのはやっぱり嬉しいわ』
『そんな……、わたくしは優れてなど……』
 そこでバイオレッタはわざと薄桃色の唇を捻じ曲げてみせた。
『まあ。わたくし、いつもこっそり羨ましいと思っているのに。背が高いところも、瞳がきりりとして涼しげなところも、殿方の会話に堂々とついていけるところも。みんなわたくしにはない部分だわ。わたくしにも少し分けてほしいくらいよ、クララ』
 そう言って、バイオレッタは茶目っ気たっぷりに微笑んでみせた。
 そんなバイオレッタの顔つきの方がよほど可愛らしくてコケティッシュで、クララは目が離せなくなってしまった。
 けれど、彼女にそう言ってもらえて少しばかり自信を得たのも事実だ。
 男性並みに背が高いこと、瞳が切れ長で硬い雰囲気になってしまいがちなこと、本当は男性を言い負かせるくらい弁が立つこと。
 どれもクララのコンプレックスであり弱点だったからだ。
 そのどれもを「優れている」と褒められて、嬉しくないはずがない。
(とはいえ、あの方も相当優れた方だと思うのだけれど。いただいたお菓子、どれもとてもおいしかったし綺麗だったもの)
 クララはそこでうっとりとバイオレッタお手製のお菓子を思い出す。
 色とりどりのペーパーやギフトボックスでラッピングされた、目にも舌にも楽しいお菓子の数々を。
 ああしたものをクロードはいつも味わっているのだろうか。
 だとしたらそれはさぞや幸福なひとときだろう。甘いお菓子と甘い恋人。それはこの上なく満たされた時間に違いない。
 バイオレッタは面倒見がよくて相手をほどよく甘やかすのが上手な少女だから、クロードの方も一緒にいて居心地がいいのだろう。それはなんとなくわかる気がした。
 
 そんな風にバイオレッタとクロードの仲睦まじい様子をぼんやりと思い返していると。
「クララ」
「は、はい……っ?」
 いつの間にか隣のアスターが菓子を口に運ぶ手をやすめてこちらを見ている。
 クララは慌てて居住まいを正し、彼の言葉に耳を傾けた。
「やはりいいものだな。こうやって実際に貴女に会えるというのは」
 その声にはしみじみとした響きがあった。
 アスターはふっと微笑んで続ける。
「……貴女といると、僕は今まで知らなかった自分を見つけることができるんだ。僕と違って、貴女は優しい。そして風流だ」
「ふ、風流とは……?」
「僕は今まで、貴女のような生き方をしたことがないんだ。草木の種類や季節の移り変わり……そうしたものには無関心で生きてきた。だが、貴女といると、貴女が教えてくれる。そうした身近にある何の変哲もないものの素晴らしさを。貴女を思うとき、僕は自分が寄る辺ないただの一人の人間だということに気づかされる。そして、どういうわけか貴女がますます愛おしくなってしまう……」
 それはもしかすると、自分がただの生き物でしかないということに気づいてしまうということなのかもしれない。
 自然の中で生きていること、生かされていること。それを恋人との交わりによってアスターは噛みしめているのだろう。
 だが、それはクララも同じだった。
 ドレスや宝玉でいかに美しく着飾っていたとしても、クララだって人間でしかない。ただの一人の少女でしかないのだ。
 そして、そのことに気づいたときに他人をより強く求めるようになるというのはわかるような気がした。
「……人間はちっぽけですから、誰かと助け合わなければ生きていけないのです。それを自覚したとたんにわたくしが恋しくなるというのは、もしかしたら普通のことかもしれません。その……わたくしはアスター様の、こ、恋人ですから……」
「嬉しいことを言ってくれる……。また一つ、貴女に教えられてしまったな」
 アスターはクララの薄茶の髪を愛おしげに撫でる。
 が、それは兄が妹にするような類のものではなかった。手つきといい瞳の色といい、明らかに恋慕の情が滲み出ている。
 男性らしく大きな手のひらで頭を撫でられ、頬にかかる後れ毛をさらさらと梳かれて、クララははにかんだ。 
「わたくしだって、アスター様からは色々なものを教わっていますわ」
「……? そうなのか?」
「はい。あなたとおしゃべりしていると、わたくしは新しい考え方を知ることができるのです。アスター様はけして感情で動いたりなさらない。そして何に対しても慎重です。男女でものの見方が違うというのは本当のことだったのですね」
 素直に打ち明けると、アスターは苦笑いした。
「僕は軽率な行動をするのが嫌いなだけだ。なんにせよ敵は少ない方がいい。出しゃばらないに越したことはないさ」
「謙虚で素敵な考え方ですわね。わたくしは時々後先考えずに突き進んでしまうことがあるので見習いたいですわ」
 アスターは突如押し黙り、クララを見つめて困ったような顔をする。
 彼はそこでふいにデセールを味わうのをやめた。クロスの上にカトラリーを置くと、おもむろにクララに向き直る。
 何やら真剣な雰囲気だ。
「……?」
 クララは首を傾げつつも彼の方へ身体を向けた。一体どうしたのかと不審に思っていると。
「クララ……」
 ささやくなり、アスターは唇を奪う。
 いきなり間近に迫ったアスターの顔に、クララは身動き一つ取れなくなった。
「ん……っ」
 ぎゅっと両目を閉じてされるがままになる。
 突然の行為に慄きつつも、クララは唇の上にじんわり広がったアスターの熱をおとなしく受け止めた。
 アスターの唇はどこまでも遠慮がちに押し付けられた。
 まるでクララの様子をうかがっているかのような、おずおずとした――それでいてどこかもどかしげな――キスだ。
 挨拶めいて軽いキスを一度だけしたのち、アスターはクララの両頬を手で挟み、至近距離でその瞳を覗き込む。
 そして彼はそのままもう一度唇を重ねてきた。
 クララは一瞬わずかに眉根を寄せたものの、引き寄せるようにしてアスターの背に腕を絡ませる。
 すると、他人行儀な雰囲気は瞬く間に消え失せ、口づけが情熱的で急くようなものに早変わりした。
 離れていた空白の時間を埋めるように、互いの激情を伝え合うかのように。
 二人はこまやかなひとときに耽溺してゆく。
 ……これはどう考えても真っ昼間からするようなキスではない。こんな、陽の燦燦と降り注ぐのどかな部屋で堂々と交わしてよい類のものではない。
 そう思いながらも、クララは懸命に息を継ぎながらアスターの口づけに応えた。
 思考はとうにどこかへ押し流され、触れ合う唇の感触だけがやけにはっきりと伝わってくる。
 熱く湿った吐息を交わし合い、時折互いの背や肩を撫で合いながら、二人は束の間のキスに酔いしれた。
 どこか名残惜しそうに濡れた唇を放し、アスターはぼそりと言う。
「……菓子などよりよほど甘いな」
「……っ!?」
 独り言のようにつぶやくから余計に質が悪い、とさえ思う。
 宮廷に集う伊達男たちのように真っ向から口説いてくれればまだましだが、奥手なアスターはそうしない。ことごとく不器用かつ不明瞭な迫り方をしてクララを困惑させる。
(も、もちろんそれがアスター様の本意ではないということはわかるわ。だけど、こうもいきなりそんなことを言われては、心の準備が……っ!)
 悶々とするクララをよそに、アスターはいたって晴れやかな笑みを浮かべた。
 澄んだエメラルドの双眸に図らずも視線が釘付けになる。
「クララ。……これからも僕に教えてくれ。貴女の知る愛のすべてを」
「はい……、アスター様。あなたもわたくしに教えてください」
 控えめにそう返し、クララはおずおずとアスターに身を寄せた。
 彼が嫌う左目の瞼に、ちゅ、と口づける。
「……っ!?」
 びくりと身を震わせたアスターに、クララは素早く弁明した。
「……わ、わたくしはあなたの左目も大好きですから」
「クララ……」
 互いに感極まって抱擁の力をより一層強めようした、そのとき。
「えへへ。プリュンヌのことも忘れちゃいやですよ?」
 クララの傍らからひょっこりと身を乗り出してくるプリュンヌに、アスターとクララはぎくりと動きを止めた。
「……!」
 クララはさっと居住まいを正すとプリュンヌに向き直る。
「プリュンヌ様……、あの、もしかしてずっと見ていらっしゃいましたの?」
 訊くまでもないのはわかっていた。
 ここには最初から自分たちだけでなくプリュンヌもいたのだから。
 プリュンヌは慌ててもじもじと横を向いたが、ちらちらとこちらをうかがうその表情はいたずらっ子のように楽しげだった。
「ごめんなさい、お姉様。ずっと見てました。あの……、ついでに言うとユーグさんやアベルさん、アンナさんもずっとずっと見てました」
「なっ……!」
 アスターが絶句し、口元を手で覆ってどこかおたおたと言う。
「……す、すまない、クララ。今度から場所は選ぶべきだな。貴女にこんな恥ずかしい思いをさせて……」
「い、いいのです。気にしていませんわ」
「気にしないはずがないだろう。本当にすまない……、僕としたことが、急ぎすぎたようだ……」
 顔を見合わせてくすくすと笑い合い、もう一度触れるだけの口づけを交わし合う。
 口づけの余韻を、クララはそっと小さな胸に刻み付けた。
 二人の恋の結末に不安はあれど、今はこのかすかなぬくもりだけですっかり満たされてしまう。
(この一瞬を、大事にしたい)
 クララは窓から降り注ぐ夏の日差しに射られながら、せり上がる幸福感に身を任せる。
 そのままアスターを見上げて微笑み、その指先を手繰り寄せて強く絡ませ合った。
 ……ああ、これからもきっとこの人とともに目指してゆくのだろう。
 さらなる輝きの彼方を。
 

 
 
アスクラ(アスター×クララ)+プリュンヌの、夏のお話。
三人のほのぼのしたやり取りが書きたかっただけのもの。
本編ではほとんど出番のないアスター&プリュンヌですが、今回の短編ではみっちり活躍させております。
プリュンヌのお着替えシーンと三人でおやつを食べるシーンは特にこだわりました。
 
そしてアスターさん、顔に似合わず意外と甘いもの好き?って思われた方もいらっしゃるかと思うのですが……そう、甘党なんです(笑)
本編ではほとんどそういう描写をしていないのですが、アスターは大の甘党です。というか、この設定を知っている人がいたら相当本編を読み込んでる方じゃないかなと思いますが。
 
アスクラは友達(幼馴染)から恋人になったカップルなので、クロバイ(クロード×バイオレッタ)のようなスリリングな関係ではありません。むしろ安定しすぎていてほのぼのです。
アスターは愛情表現があまり得意じゃない硬派な性格なのですが、そこはクララがうまく汲み取ってくれるので問題なしという。
 
 
 

 

error: Content is protected !!
inserted by FC2 system