薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編 第九章 贄と依代 その晩、ジン神殿の出現を悟った異教徒たちは、砂漠の合間に突如浮上してきたその建物の中になだれ込んだ。 ランプの灯りを頼りに、ぽっかりと口を開けた闇の中へ身を投じる。 すると、たちまち神殿内部に燭台の灯りが点り出す。 まるで彼らの訪... 2021.08.21 薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編
薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編 第十章 もう一つの邂逅 「随分手際が悪いと思ったら、またその娘の相手をしていたのか。これは笑わせる……」 「は、申し訳……」 クロードは殊勝に頭を下げると、女の傍らに跪いた。 「え……、クロード、さま……?」 跪くクロードを従え、黒髪の女は妖しい笑みでバイオレ... 2021.08.22 薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編
薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編 第十一章 死闘 「……っ」 「もうおしまいですか、水の依代アベル?」 斬りつけられた右腕を押さえ、アベルは呻く。 「ハッ……、やっぱりお前性格悪いな。そんな物騒な得物で斬りかかってくるとかさ」 フランブルジュの波のようにうねった刀身を、クロードは愉しそ... 2021.08.22 薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編
薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編 第十二章 外れた歯車 「――火の神アイン! 絶対にお前を、仕留めてみせる!」 スピネルのその宣告に、力強い声で応えるものがあった。 「よく言った、ルヴィ隊筆頭騎士スピネル」 「アベル君……」 「俺があいつの足止めをする。だからその間お前たちは少しでも多く時間を... 2021.08.22 薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編
薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編 第十三章 少年王に捧げる弔歌 その晩、バイオレッタたちはオトンヌ宮の大広間である≪享楽の間≫へと続く廊下を並んで歩いていた。 最前列をオルタンシアとミュゲが、次の列をバイオレッタとピヴォワンヌが行く。 その後ろに並ぶのはアスターとプリュンヌで、二人はそれぞれの侍従と... 2021.08.23 薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編
薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編 第十四章 ふたりの女王 国王リシャール崩御の報(しら)せは、瞬く間に大陸中に広まった。 残された王子王女たちは父王の弔いの儀を執り行い、そして次期女王の選出を急いだ。 リシャールが守り抜いた黄金の玉座に座したのは、バイオレッタ・エオストル・フォン・スフェー... 2021.08.23 薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編
薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編 最終章 ただひとりの愛する人よ 即位式から数か月が経過した。 バイオレッタはプランタン宮の廊下にたたずみ、ぼんやりと夏の青空を見上げていた。 数日降り続いていた雨がやみ、雲間からは太陽の煌めきがこぼれている。宮殿の周りに植えられたたくさんの樹木が、眩しいほどの青色... 2021.08.23 薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第三部 邂逅編
薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第二部 ピヴォワンヌ編 あらすじ 【第二部あらすじ】 クロードの歪んだ愛の暴走によって、彼の作り出した『絵画の世界』に幽閉されてしまったバイオレッタ。 クロードの私邸に軟禁され、彼の愛の虜囚として自由を奪われた彼女は、恋人の豹変に衝撃を受ける。 一方、忽然と姿を消したバ... 2021.08.13 薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第二部 ピヴォワンヌ編
薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第二部 ピヴォワンヌ編 『薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~』キャラクター紹介Ⅱ 『薔薇後宮奇譚』に登場する人物のまとめです。第二部に登場するキャラを中心にまとめています。 キャラクターイラストは順次追加予定です。 第二部登場キャラクター 喬彩月(きょうさいげつ) 年齢:27歳 誕生日:8月5日(獅子... 2021.08.13 薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第二部 ピヴォワンヌ編
薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第二部 ピヴォワンヌ編 序章Ⅱ 暗い部屋の中で、男はもう何度目になるかわからない涙を流していた。 ――脳裏に鮮やかに浮かび上がるのは、愛しい妃の顔。 記憶の中で、彼女は美しい青紫の瞳を細めて微笑んでいた。 「アイリス……、アイリス……!」 ……床の上には魔術... 2021.08.13 薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第二部 ピヴォワンヌ編