薔薇後宮奇譚 第二部 ピヴォワンヌ編

薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第二部 ピヴォワンヌ編

第八章 ヴァーテル教会からの客人

翌日、またしてもピヴォワンヌは突然の来客に叩き起こされる羽目になった。「ピヴォワンヌ様、起きてくださいませ」「うぅん……、なあに? ダフネ。まだ七時じゃないの……」 月に数回、王室女性たちが合同で朝の礼拝を行う日というのもあるが、今日は生憎...
薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第二部 ピヴォワンヌ編

間章 騎士たちの夜

その日の夜。 リュミエール宮の貴賓室でくつろいでいたラズワルドのもとへ、隣室のスピネルがやってきた。「へえ、このお部屋も素敵ぃ」 薄手のネグリジェ姿でうきうきと部屋に入ってくるスピネルに、ラズワルドはうろたえた。「ちょっと、スピネル。いくら...
薔薇後宮奇譚 ~菫の姫は千年の恋歌に啼く~ 第二部 ピヴォワンヌ編

第九章 赤と黒のアンタゴニズム

リュミエール宮の回廊を歩いていたクロードは、異臭に気づいて表情を険しくした。 この鼻につく匂いは、恐らく煙草だ。 見やれば、宮殿の石柱にもたれて煙管を咥える若い男の姿があった。別段悪びれる様子もなく悠々と紫煙を吐き出している。 男は回廊に囲...
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第十章 公主たちとのひととき

一行は公主たちの住まいに足を踏み入れた。 ピヴォワンヌは、赤で統一された劉風の室内をきょろきょろ眺める。(ここ、宮城にあった二人の部屋とそっくり。劉にいた頃の室内装飾をうまく再現してるわね) あちこちに小型の吊り灯篭や房飾りが吊るされた賑や...
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第十一章 “闇に覆い隠されし王女”  

その日、ピヴォワンヌとミュゲの二人は≪星の間≫へ呼び出され、女王選抜試験の一時中断を告げられた。 この状況下で試験を続行するのというのはもはや難しい話だろうというのが元老院の面々の意見だった。宰相も同じ意見らしく、彼は痛恨も露わに懸命に現状...
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第十二章 追憶と淡き慕情

ピヴォワンヌはゆっくりと瞳を開けた。 頬や髪を撫でる温い微風が、穏やかに意識の覚醒を促す。(ここは、どこなの?) 未だおぼろげな意識を叱咤し、ピヴォワンヌは自分が今どこにいるのかを確かめようとした。 さり、と音を立てて一歩を踏み出し、きょろ...
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第十三章 ふたり

次の日の朝。 ピヴォワンヌは紅玉棟の私室で紙面を睨んでいた。 テーブルの上にはリシャールに借りた城の見取り図が広げてある。 その他にも王城やその周辺の区域に関する資料が山ほど並べられていた。 鵞ペンを置き、ピヴォワンヌはしかつめらしく腕組み...
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第十四章 開かれる道

二人はそのまま北にある人工池のほとりまで歩いてみた。 石段を下り、石柱や彫像に囲まれる巨大な人工池を見渡す。「こりゃまた随分と広い池だなァ。お、もう秋の花が咲いてやがるぜ」「そうね。もう秋に入りかけてるから。この分じゃそのうちあそこの秋桜や...
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第十五章 魔術痕跡を追って

ピヴォワンヌは急遽クララに従者二人を呼び出してくれるよう頼んだ。「え? ユーグとアベルを……ですか?」「ええ。あの二人にどうしてもお願いしたいことがあるんだけど、いい?」「……それはもしかして、バイオレッタ様の捜索に関わることなのですか?」...
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第十六章 出立の日に

「……なるほどね。そのバイオレッタ姫とやらを助けに行くために、彩月の力を借りたいと」 公主たちの部屋で話を切り出すと、玉蘭は真剣な面持ちでピヴォワンヌの言葉を反芻した。「ええ。彩月の能力があれば、どんな敵相手でも切り抜けられるわ。だからお願...
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